こんにちは、院長の前田です。
「レーザーでシミ取りをしたのに、またシミができている?」
こんなお声を聞くことがありますが、それは”炎症後色素沈着”と呼ばれ、肌の炎症が治癒した後に色素沈着として残ってしまう状態です。
健康上の問題はなく、放置しても問題ありませんが、せっかくレーザーをあてたのだからシミのない明るい肌を目指したいですよね。
今回は炎症後の色素沈着についてお話します。
炎症後色素沈着(PIH)は、レーザー治療やその他の肌への刺激によって引き起こされる一時的なシミの状態です。
肌がレーザーなどでダメージを受けると、損傷した組織を修復しようとする生体反応としての炎症が起こります。
すると、肌に存在しているメラノサイトが刺激を受け、活性化されて通常よりも過剰な量のメラニン色素を生成し始めます。
さらに、レーザーなどで一時的に敏感になった肌は、乾燥や紫外線によりターンオーバーが乱れ、メラニンの排出が滞って炎症後色素沈着として肌に残ります。
これが、炎症後色素沈着として知られる茶色いシミのメカニズムです。
一時的なものなので時間が経てば消失しますが、かさぶたを剥がそうとするなど刺激が加わることで、色素沈着が残り続けるケースもあります。
そのため、無理にかさぶたを取ろうとはせず、自然に剥がれるのを待ちましょう。
個人差がありますが、色素沈着はおおよそ半年~1年ほどで自然に消失することが多いです。
炎症後色素沈着は、レーザー治療後2週間~1ヶ月程のうちに現れます。
レーザー治療直後は、照射部位のシミが一時的に黒く濃くなり、かさぶたが形成されます。
かさぶたが自然に剥がれ落ちた後に色素沈着が残っていたら、炎症後色素沈着が起きていると判断できるでしょう。
日本人を含むアジア人は、メラノサイトが活性化しやすい人種で、炎症後の色素沈着が起きやすいタイプです。
私も治療をしていて、おおよそ50%以上の確率で、炎症後色素沈着が起きていると感じています。
シミ取りレーザーを受けた後の肌は、火傷を起こした状態であり、外部刺激を受けやすくなっています。
そのため、普段よりも紫外線ダメージを受けやすく、対策を怠るとメラニン色素が生成されて、色素沈着が起こりやすくなります。
炎症後色素沈着は、刺激が加わることでますます治りにくくなるため、以下のことに注意してください。
✔摩擦や刺激を避けることが大切
レーザー治療後は、特に肌を摩擦しないよう気を付けることが大切です。
洗顔料はよく泡立てて、直接指でこすらないように泡でやさしく洗います。
すすぎはお湯だと皮脂を取りすぎてしまい、乾燥を招きます。
ぬるま湯で、石鹸が残らないようにすすぎましょう。
シャワーのお湯を顔に直接当てるのは、NGです。
水圧が刺激となり、色素沈着を引き起こすリスクが高まります。
タオルで拭くときも、こすらずにやさしく押し当てるように水分をふき取りましょう。
スキンケアの際も注意が必要です。
コットンや手のひらで何度もパッティングすると、刺激になります。
スキンケアアイテムを手のひらに取り、やさしく押し当てるように浸透させましょう。
✔紫外線対策
レーザー治療後の紫外線対策は、いつも以上に徹底します。
屋内外に限らずに、日中は日焼け止めクリームを欠かさずに塗るように心がけてください。
汗をかきやすい方は、ウォータープルーフのものを使うと、日焼け止めの流れ落ちを防げます。
肌の乾燥が気になる方は、セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分が配合された日焼け止めを選ぶのもよいでしょう。
治療後は肌のバリア機能が一時的に弱まり、敏感になっています。
そのため、紫外線の影響もいつもより受けやすく、色素沈着だけでなく、シミやシワのリスクも高まります。
日焼け止めは曇りの日や屋内で過ごす日も必ず塗り、汗をかいたら塗りなおします。
✔美白剤の使用
美白剤を使うことで、色素沈着の改善を早めることができます。
自然にキレイになるのを待つ場合、およそ半年から1年の期間が必要ですが、美白剤を継続して使えば半年ほどでの改善が可能です。
できるだけ早めに治したい場合は、トレチノインと美白剤と併用して使えば、およそ1〜3ヶ月で色素沈着をキレイにできます。
シミ取りレーザーは、経験と実績のある施術者が行わないと色素沈着が起こりやすくなります。
シミ取りレーザーを実施しているエステサロンがありますが、医師でない無資格者が行うことで、火傷などの皮膚トラブルが起きた事故が実際にあります。
シミにはさまざまな種類があり、できる場所や範囲は人それぞれです。
また、いくつかのシミが併発している場合もあります。
そのため、どのようなレーザーでどの程度の時間照射するかなど、施術者がシミを見極めて治療方針を決める必要があります。
治療方針を決めるには、専門の知識が必要なため、信頼できるクリニックでしっかりと相談することが重要です。